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石島は、特別に変わった性癖を持っている訳ではない。
しかし、彼がアダルトDVDをレンタルするときは決まって素人物をレンタルした。
勿論、理由はいくつかある。
普通の街を歩いていそうな女の子。何処にでもいそうな普通の女の子が、画面の中で淫らな姿を見せる。
それは恐らく、彼女達が、友達にも、家族にすらも見せない姿。
その姿を名前も知らない、何の面識も無い自分が見ている。
石島はそこに興奮を覚えた。
…無論、DVDとしてレンタルされているのだから、不特定多数の人間が自分と同じ様に彼女達の恥態は目にしている訳だが…。
もう一つの理由。素人物にある、会話のシーンが、石島は好きだった。
屈託なく話す画面の中の女の子達の何気ない会話。
何処にでも居そうな普通の誰かの日常と非日常を、同時に見る事が出来る。
石島はそれが面白いと思っていた。
洗濯したまま畳まれることなく山積みにされた衣服を畳みながら、飲み散らかされたペットボトルをゴミ袋に放り込みながら、石島は交わされる会話を聞いていた。
持て余された時間を過ごすには最適だ。
石島はそう思っていた。
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