色欲の勇者

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「おい、その辺にしておけ」 恥ずかしげもなく、腰を振る男に見かねた客の一人が言った。 これには、助かったと女は一瞬安堵の表情を浮かべたが、その男の顔見て、ゾッとした。 なぜなら、そいつの顔はこの村では一番の荒くれ者で、店に飲みに来ては暴れるまわり、物は壊すわ、人は殴るわ、大迷惑。 さらに質が悪いことに、そいつは度々女に迫ってきたことがあり、これでは、仮に目の前の男から助けられても、それをネタに次はこの男に絡まれる。 一難去っても、また一難。前門の虎、後門の竜。 女にとってはどうしようもない状況に変わりはなかった。
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