幸せだった時間

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バムはとても優しい子でした。 足を踏まれても何も言わずに静かに足を引くだけ。 噛みつくなんて全くなくて、初めの半年は吠えもせず、裏の家のおばさんに、居たことに気づかれなかったくらいでした。 かわいいものが大好きで、散歩で学校の飼育小屋に行くと、そこにいた子ウサギを見つめて、きゅーんと鼻を鳴らしていました。 近所に児童館が有るため子供たちにもよく知られていて、「あ、バムちゃんちのお姉ちゃんだ!」と言われ、自分よりバムの方が有名で、ちょっと微妙な気持ちになったりもしました。 鼻が利かなくて、目の前に落ちているおやつを見つけられなくて、いつも拾って鼻先に持っていき、「食べなよ」と言うと尻尾を降って食べ、手をペロッと舐めてくれました。 「ありがとう」と言っているようでした。
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