一譚 希望の果て

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  「どうかしたか?」 「ううん、元気元気」  彼の名前は 天谷 宗一郎(あまや そういちろう)。  簡単に説明すると特技はスポーツで、苦手なものは勉強。  特に剣道の腕は全国の高校生の中でも有数のもので、毎年全国大会にも出てるし上位入賞も毎度のことだ。 「僕に足りない特徴を全部持っていかれてる気がする」 「なんか言ったか?」 「ん、なんでもない」  僕と宗一郎は幼なじみで、ずっと一緒に過ごしてきた。  昨日一悶着あった山にもよくいって遊んだし、学校もクラスもずっと同じだ。  頼りがいのある宗一郎をずっと頼ってきたし、宗一郎も僕のことを(主に宿題とか勉強面で)頼ってくれた。  全幅の信用を置ける、僕にとって宗一郎とはいわば家族以上の存在だった。  だからだろうか。  昨日の出来事を話すことができるのは、宗一郎しかいないと思っていた。    
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