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一応、名目通りにコンビニに行くあたりが、僕の律儀たる所以である。
宗一郎の弁より抜粋。自覚ないし、なんか釈然としないけどね。
というわけで、一本だけ缶ジュースを買って出てきた。釣り銭なく支払えたことにささやかな喜びを覚えるあたりが、僕の庶民的たる所以である。
以下略である。
ジュースをちびちび飲みながら、常に視界の端又はガン見で月と相対しながら、近所の公園までやってきた。
お月見なら、ここのジャングルジムのてっぺんが断然いい。
「しまった、お団子買ってくるの、忘れたな」
などと呟きながら歩く。
小さい頃は、例の山かこの公園が遊び場だった。高校生になった今でも、暇があればそのどちらかにはよく行く。
……思えば、霊夢さんと魔理沙さんに会ったあの日、経緯は忘れたがあの山ではなくこの公園に来ていれば、この大波乱の生活を送ることはなかったのだろうか。
「……ま、いっか。なんだかんだ、楽しいしね」
うん、そうだ。
霊夢さんと魔理沙さんに会わなければ、この大波乱の生活にはならなかったが、同時に二人と友達になることもなかった。
差し引いてプラマイゼロ。
むしろポジティブに考えるなら、新しい友達が出来て大いにプラスだろう。
うん、そうだ。
なーんて、ね。
なんだかんだで、ジャングルジムの正面にまでやってきた。
「……っと、おや?」
そこでようやく気付いた。
僕の目指していた場所に、先客がいることに。
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