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さて、何事もなく翌日の放課後。
何事か起きるのはこれからだ。……彼女の"予報"によると。
『明日の夕頃から夜にかけて。……そうね、風船が引っかかっている木があるわ。その枝、それを持ってきなさい。うん、それがいい』
いやいや、途中で考えるあたりが怪しすぎるんだけど。最後の一言余計すぎ。
そんなの誰が信じるっていうのさ。口にはしなかったけどね。
しかもこの難題、数多の雄が挑んでは散っていった、とか言ってた割にずいぶんと子供っぽい。これは予想していたことだけども。
ともかく、それにより、やっぱりお遊びだったって確信した次第。
きっと、超スピードで僕に近づいてきたことや僕が感じた恐怖心はなにかの間違いだったに違いない。きっとそうである。そうに違いない。
と、いうわけで。
僕は暢気にいつも通りにいつものメンバーで商店街を歩いていた。
もちろん、彼女の難題を果たすつもりなんてさんさらない。
そもそも一夜出会っただけの人とまた会えるなんて、僕がそう望んで行動に移さない限りは確立も低いわけだし。
「どうした叶、何時にも増してぼーっとして」
「まるで僕がいつもぼーっとしているような言い方だね!?」
宗一郎の言葉に、脊髄反射で返す僕。
隣を歩いていた霊夢さんと魔理沙さんが怪訝な顔を浮かべる。
「え、僕ってそんなにいつもぼーっとしてる?」
示し合わせたように三人同時に頷いたよ。くそう。
「そりゃもう、な」
「いつもいつも、ね」
「ぼーっとしてる、ぜ」
「イジメ!? ねぇこれ絶対イジメだよね!?」
わはは、と笑われる始末。
なんだよなんだよっ、みんなしてさー!
むすっとちょっと早歩きで輪から飛び出す。
そうして、前方がやや騒がしいことに気付いた。
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