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全部話し終えるのに、そう時間は要しなかった。先生が次の授業までの課題について話し始めた授業の後半から、丁度、予鈴が鳴るくらいまでの時間だ。
僕はその話を、できるだけ「過ぎた笑い話」になるよう努めることに終始した。
……の、だけど。
「なるほど、要はあの教師のヅラを俺が引っぺがしてくればいいって話だな」
「僕の話をちっとも聞いてないね!?」
……こうなった。
しかも、限りなくミッション成功率が10割に近い宗一郎がそう言うのだから、先生の先行きを思うと合掌したくなる。
「ね、ねぇまさか本気じゃ……」
「極限状態の中でこそ人は成長するんだ。これは俺の鍛錬のためでもある」
「い、いやこんなアグレッシブな方法じゃなくても鍛錬できるでしょ……」
「何時如何なる時も、己を極限状態に」
どこかのキャッチコピーのように格好良く言いながら、ぐっと握り拳を僕に見せる友人。
「面白そうな話ね」
「乗らない手はないぜ」
それに同調する、後ろの超人二人。
そういえば最近ずっと眠たそうな顔をしていた二人だが、今に限っては殺る気満々が痛いほど背中に伝わってくる。まるで日頃の鬱憤の丁度良いはけ口を発見したかのようだ。
宗一郎が仲間の協力に力強く頷き、作戦を仰ぐ。
「作戦なんてない方がやりやすいぜ」
「まったく同意ね。力づくで引っぺがす」
「了解だ。作戦開始時間、ヒトマルヨンキュウ。出撃のタイミングを譲渡する。二人とも……ベストを」
宗一郎がどこぞの戦争映画のように格好良くキメると、霊夢さんと魔理沙さんも強く険しい面持ちで頷いた。
……全力前回の本気モードがひしひしと伝わってくる。
あぁ、僕が知る中で最強最悪なメンバーが揃ってしまったようだ。
こうなれば最早、僕の静止などあってないようなもので──
「や、やめ──」
『突撃ィー!』
哀れ、中年先生。
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