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どうやら僕は驚きのあまり尻餅を付いていたようで、砂埃をはたいて落としながらよっこいしょと立ち上がった。
ヅラの回収も忘れずに。ヅラについた砂は落とさなくてもいいや。手に絡みつく毛髪の模倣品が鬱陶しい。
というわけで、
「ミッションコンプリートであります」
ヅラを献上した。有志の協力と尊い犠牲の賜物である。
彼女は木の枝と同じ時のように、僕の手からヅラをひったくり、
「はいおつかれー」
びりびりーっ、と引き裂いた。
何のためらいもなく、有志の努力と尊い犠牲が塵になって夜風に吹かれていった。
この一件が終わったらこっそり先生に返すつもりだったのに。哀れ。
「あーあー」
自分でも溜息のトーンが低いことが嫌でも分かる。なにせ、あのヅラは苦労と苦悩の結晶だ。努力が報われないのは悲しいことだ。
というか、僕はなぜにこんな彼女の我が儘に付き合っているんだろうか。
いや、やっぱり最近、変なことが続きすぎているせいか。
……こういう言い方はしたくなったけど、
「霊夢さんと魔理沙さんに会ってからだよなぁ、こういう不思議が続くのって」
やっぱり、そうなんだよなぁ。
いや、現実に不満があるわけじゃない。むしろ楽しいから大歓迎。
でもやっぱり、たまにそう思っちゃう時もあるんだ。
おかしなことに、彼女たちは連鎖反応を起こすように、様々な厄介人を引き連れてくるのだから。
「あら貴方、あの紅白巫女と変な魔法使いを知ってるのね」
「……あぁ、あなたもそういう人でしたか」
うん、薄々、感づいてはいたけどもさ。
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