四譚 変容

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 どうやら僕は驚きのあまり尻餅を付いていたようで、砂埃をはたいて落としながらよっこいしょと立ち上がった。  ヅラの回収も忘れずに。ヅラについた砂は落とさなくてもいいや。手に絡みつく毛髪の模倣品が鬱陶しい。  というわけで、 「ミッションコンプリートであります」  ヅラを献上した。有志の協力と尊い犠牲の賜物である。  彼女は木の枝と同じ時のように、僕の手からヅラをひったくり、 「はいおつかれー」  びりびりーっ、と引き裂いた。  何のためらいもなく、有志の努力と尊い犠牲が塵になって夜風に吹かれていった。  この一件が終わったらこっそり先生に返すつもりだったのに。哀れ。 「あーあー」  自分でも溜息のトーンが低いことが嫌でも分かる。なにせ、あのヅラは苦労と苦悩の結晶だ。努力が報われないのは悲しいことだ。    というか、僕はなぜにこんな彼女の我が儘に付き合っているんだろうか。  いや、やっぱり最近、変なことが続きすぎているせいか。  ……こういう言い方はしたくなったけど、 「霊夢さんと魔理沙さんに会ってからだよなぁ、こういう不思議が続くのって」  やっぱり、そうなんだよなぁ。  いや、現実に不満があるわけじゃない。むしろ楽しいから大歓迎。  でもやっぱり、たまにそう思っちゃう時もあるんだ。  おかしなことに、彼女たちは連鎖反応を起こすように、様々な厄介人を引き連れてくるのだから。 「あら貴方、あの紅白巫女と変な魔法使いを知ってるのね」 「……あぁ、あなたもそういう人でしたか」  うん、薄々、感づいてはいたけどもさ。
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