四譚 変容

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□  「ゲンソウキョウ」なる不思議の国出身の彼女の難題は繰り返された。お遊びがエスカレートしていったと置換してもいい。  なぜに僕はそれに付き合っているのか、自分でも不思議でならない。冗談とかではなく、何度か死にかけてるのにね。  それでも言われるがままに、僕は様々な物を彼女に献上してきた。    漬け物が趣味の凄く怖いカミナリじいさんの大切な漬け物石。仕様用途は不明。  燕の丸焼き。どうやらこの時、彼女は腹を空かしていたようだ。食べたかどうかは不明。  あと……。      霊夢さんのぱんつとか。     「意図不明にもほどがあるんだよっ!」      死に直面したのはまさしくこれだった。  直接言うにも言えず、しかしこれがなかなかどうして持って行かなければという謎の使命感に襲われた僕は、こっそりと霊夢さんと魔理沙さんが使っている部屋に忍びこんで、たんすからぱんつを奪取する作戦に出たのだ。  この時すでに、罪悪感で三回ほど死んでいる。ドキドキ感で五回ほど死んでいる。  ……そして、バレた直後に一万回くらい死んだ。他殺だ。  白い布地を指先で摘みながらこそこそと部屋を出た僕は、丁度、部屋に入ろうとしていた霊夢さんと遭遇してしまったのだ。まさしく死との邂逅。 『あら、叶じゃない。どうしたの私の部屋から出てきて』      そしてその視線が僕の手に移された瞬間。  「なっ!!」と驚愕の眼で僕を見、ちょっと赤くなったかと思うと一瞬で修羅の形相に成り代わって、僕を完膚無きまでに叩きのめす。  どこから持ち出したのか紙垂で思いっきり殴ったり、例の如くスペルカードとやらで下に恐ろしき殺人弾幕を展開したり。  僕は命からがら、ぱんつと共に生還したわけだ。生き延びたことこそが何よりの奇跡である。  二度とあんなことするもんか、というかなんであんなことしてるんだよ僕はっ!      そんなこんな、満身創痍で献上したその品々が、やはり壊されたり捨てられたのは言うまでもない。くそう。
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