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涕涙どころか号泣しかねないほどの悲しさに見舞われた。
ところがそんな僕の心情とは裏腹に、状況は嫌な方向へと邁進していた。
「さぁて」
歌うようにトーンの高い楽しげな声を上げ、輝夜さんはどこからか取り出した6枚のカードを手にしていた。
見たことがある、あれは『スペルカード』だ。僕が見た限りでは、魔理沙さんとフランドールがそれを持っていた。おそらくあれが、「弾幕」なるものの発生トリガーなのだろう。どういう仕組みかまでは考えるまい。超常現象超常現象。
ただ、あの手に持つ6枚が輝夜さんの手持ちであることは、間違いなさそうだった。
「……それ、全部クリアしないといけないの?」
「そんなことはないわよ」
よかった、あんな拷問を6回とか、体が何個あっても足りなかったところだ。
「この六枚のスペルカードは、難題の空蝉。あなたはすでにこのうちの五つをクリアしているでしょう?」
「あぁ、なるほど」
あれくらいなら可愛いものだ。これから始まる死闘を考えれば微笑ましい。
六つの難題のうちの最後の一枚。
唯一、弾幕として僕が挑む難題は、一体どれほどの苦行なのだろうか。まさに、難題。
あぁ、怖い怖い。
考えれば考えるほど怖くなってきた。
「さぁ、心の準備はいいかしら?」
「わ、ちょっと早い早いって!?」
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