四譚 変容

26/39

451人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
   涕涙どころか号泣しかねないほどの悲しさに見舞われた。  ところがそんな僕の心情とは裏腹に、状況は嫌な方向へと邁進していた。   「さぁて」      歌うようにトーンの高い楽しげな声を上げ、輝夜さんはどこからか取り出した6枚のカードを手にしていた。  見たことがある、あれは『スペルカード』だ。僕が見た限りでは、魔理沙さんとフランドールがそれを持っていた。おそらくあれが、「弾幕」なるものの発生トリガーなのだろう。どういう仕組みかまでは考えるまい。超常現象超常現象。  ただ、あの手に持つ6枚が輝夜さんの手持ちであることは、間違いなさそうだった。     「……それ、全部クリアしないといけないの?」   「そんなことはないわよ」      よかった、あんな拷問を6回とか、体が何個あっても足りなかったところだ。     「この六枚のスペルカードは、難題の空蝉。あなたはすでにこのうちの五つをクリアしているでしょう?」   「あぁ、なるほど」      あれくらいなら可愛いものだ。これから始まる死闘を考えれば微笑ましい。  六つの難題のうちの最後の一枚。  唯一、弾幕として僕が挑む難題は、一体どれほどの苦行なのだろうか。まさに、難題。      あぁ、怖い怖い。  考えれば考えるほど怖くなってきた。     「さぁ、心の準備はいいかしら?」   「わ、ちょっと早い早いって!?」
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

451人が本棚に入れています
本棚に追加