四譚 変容

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 僕のせいで、霊夢さんが傷ついている。  自意識過剰と取るには余りにも現実は残酷すぎる。目の前で起こっている全ての現象が、爪となり牙となり罪悪感となり僕の心を鋭く抉る。  痛みが胸の中心から波紋のように広がる。  ……いや、違う。  痛いのは、辛いのは、僕じゃない。僕がそれを感じるのは、あまりにもおこがましい。  今現実において傷ついているのは僕ではなく、霊夢さんなのだから。   「どうやら本調子じゃないよう……ねッ!」 「っ!」    一際大きな光弾が幾つも群れて襲いかかってくるが、霊夢さんは大きく跳躍してそれを回避する。   「──!?」    しかし回避した方向が悪かったのか。跳躍した先は弾が渦を成す正に中心。全身で避けるものの、直後に被弾。またも、地面を転げ回る。  それでも立ち上がる。砂埃と血と汗で見るに堪えない全身を奮い立たせ、紙垂を杖にしてよろけながらも立ち上がる。    僕は口が渇いていることに気付いた。唇も、瞳もだ。  拳は痛い程に握られ、奥歯も軋む程に噛み締めていることに、気付いた。  これは──怒りか。  何に対する怒りか。      それを思った時、急に世界が暗転した。事実か錯覚か分からないほど、唐突に。
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