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僕のせいで、霊夢さんが傷ついている。
自意識過剰と取るには余りにも現実は残酷すぎる。目の前で起こっている全ての現象が、爪となり牙となり罪悪感となり僕の心を鋭く抉る。
痛みが胸の中心から波紋のように広がる。
……いや、違う。
痛いのは、辛いのは、僕じゃない。僕がそれを感じるのは、あまりにもおこがましい。
今現実において傷ついているのは僕ではなく、霊夢さんなのだから。
「どうやら本調子じゃないよう……ねッ!」
「っ!」
一際大きな光弾が幾つも群れて襲いかかってくるが、霊夢さんは大きく跳躍してそれを回避する。
「──!?」
しかし回避した方向が悪かったのか。跳躍した先は弾が渦を成す正に中心。全身で避けるものの、直後に被弾。またも、地面を転げ回る。
それでも立ち上がる。砂埃と血と汗で見るに堪えない全身を奮い立たせ、紙垂を杖にしてよろけながらも立ち上がる。
僕は口が渇いていることに気付いた。唇も、瞳もだ。
拳は痛い程に握られ、奥歯も軋む程に噛み締めていることに、気付いた。
これは──怒りか。
何に対する怒りか。
それを思った時、急に世界が暗転した。事実か錯覚か分からないほど、唐突に。
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