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「そう……。それがあなたの本当の姿なのね」
僕の鼓膜が、輝夜さんの小さな呟きを鮮明に拾った。
全てが緩慢に思え、しかし対照的に、僕の速度だけが急速に上がったことは理解した。
トップギアからオーバートップへの移行を済ませた僕は、自分が思っていた"限界"の先を見た。人が自らに定める限界の天井とは、思ったより低いものだ。それが例え、揺るがない決意の元であっても。
僕はその天井を、この翼でこじ開ける。揺るがない希望を、叶えるだけの力で。
回避不能と思っていた弾幕が僕のすぐ横を通り過ぎていった。
もう目でその軌道を追うことすら無意味。
弾は僕を避けていく。
僕は弾の道をひた走る。
「おぉぉっ!」
道は開け、一筋に真っ直ぐ。
僕は駆け、
「────っ!!!」
遠く、夜空が白んでいる。
月の輪郭はいつの間にか朧気になっていた。
星はいつの間にか輝きを褪せていた。
薫る風が告げる、新しい明日。
太陽は昇る。
それが当たり前のように、今日もまた、世界は照らされていく。
────夜明けは、もうすぐだ。
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