五譚 軋轢

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     幻想郷。  霊夢さんや魔理沙さん、僕が最近会ったさまざまな人たちが住んでいた場所だ。  そこは人間も妖怪も幽霊もいて、なのにも関わらず彼女たちは平和すぎて暇だと言う場所。  理解の外の世界で、僕にはまったく関係のない話だ。たまたま、そこの住人と接点があるだけで、僕が謝罪されるようなことは何もない、はず。      女性は僕の無言に答えた。     「貴方に降り注いだ災厄の記憶と、身に起こってしまった異変」      災厄。思い当たる節といえば、霊夢さんたちの大戦争に巻き込まれていることか。  いや、それよりもだ。  『身に起こってしまった異変』、それが示すものはつまり──     「翼のこと……?」      女性は何も言わない。変化しない表情はまるで、肯定と取っていいと言っているようだった。          ──これが、誰かのせいで生えてしまったものなのだとしたら。      そう思った瞬間、思っていたことは口から零れていた。          「……これ、なんなのさ」      せき止められていた感情は、ぽつりと呟いた言の葉によって決壊する。     「ねぇ、説明してよ……」 「……」 「これ、なんなのさ……」   「……」 「こんな、ワケの分からない……」  これじゃ、まるで──   「バケモノじゃないかっ!」    女性は沈黙を保ったままだ。顔色の一つも変えない。  僕は叩き付けるように叫んだ。     「なんとか言ってよっ!」
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