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幻想郷。
霊夢さんや魔理沙さん、僕が最近会ったさまざまな人たちが住んでいた場所だ。
そこは人間も妖怪も幽霊もいて、なのにも関わらず彼女たちは平和すぎて暇だと言う場所。
理解の外の世界で、僕にはまったく関係のない話だ。たまたま、そこの住人と接点があるだけで、僕が謝罪されるようなことは何もない、はず。
女性は僕の無言に答えた。
「貴方に降り注いだ災厄の記憶と、身に起こってしまった異変」
災厄。思い当たる節といえば、霊夢さんたちの大戦争に巻き込まれていることか。
いや、それよりもだ。
『身に起こってしまった異変』、それが示すものはつまり──
「翼のこと……?」
女性は何も言わない。変化しない表情はまるで、肯定と取っていいと言っているようだった。
──これが、誰かのせいで生えてしまったものなのだとしたら。
そう思った瞬間、思っていたことは口から零れていた。
「……これ、なんなのさ」
せき止められていた感情は、ぽつりと呟いた言の葉によって決壊する。
「ねぇ、説明してよ……」
「……」
「これ、なんなのさ……」
「……」
「こんな、ワケの分からない……」
これじゃ、まるで──
「バケモノじゃないかっ!」
女性は沈黙を保ったままだ。顔色の一つも変えない。
僕は叩き付けるように叫んだ。
「なんとか言ってよっ!」
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