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「それで、復旧の目処は?」
「寝る間も惜しんでやっているけど、芳しくないわね」
"冬眠する妖怪"とまで揶揄される紫の思わぬ奮闘に、霊夢は目を丸くさせた。
紫は面白くなさそうに鼻をならし、それまで付いていた肘を畳んだ。
「謂われ無き犠牲は出てしまった。これは私の責任問題よねぇ」
「そう思うならさっさと直せ」
「手厳しいわぁ」
「殴るわよ」
霊夢が握り拳で怒りを表すと、紫は拗ねたようにそっぽを向いた。
「やっぱり、少し前に起こった大地震が原因なのかしらねぇ」
ごちるように呟いた小さな声だけを残して、紫はゆらりと消えていった。
不安定な世界からの解放を肌で感じつつ霊夢は、次にあのはた迷惑な天人に会ったらとりあえずとっちめてやろうかと考えた。
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