五譚 軋轢

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    弾幕ごっこにそういった意味があったということは初耳だ。でもそれなら、自分の意思を伝えられるのは、スペルカードに立ち向かっている相手だけだろう。見ていて漠然と何かを感じ取ることは出来るかもしれないけれど、スペルカードに含まれた複雑な感情や意志の全てを知ることは、第三者には出来ない。  それならそれでいいさ、僕は知りたくない。  知ってしまったとしても何も出来ないのだから、知ってまた怖い思いをするのは嫌だ。     「まぁ、そうですけどね」      何か底の知れない含みのある声色で、文さんは繰り返した。     「あえて言葉にしてみるのも一興じゃないですかね?」   「嫌だよ、恥ずかしい」   「あやや? 言えないようなことなんですかね? 何やらスキャンダルの匂いがしますね」      文さんの言葉はわざと魔理沙さんの神経を逆撫でしているように聞こえた。なんとなく小馬鹿にした口調で、調子としては魔理沙さんが簡単に引っかかりそうな具合に。     「そ、そんなことない」   「ならほら、言っちゃいましょうよ」      ……文さんの考えていることがなんとなく読めた。  僕にとって最悪の展開だ。      魔理沙さんが言葉にならない言葉の切れ端を口から漏らしている。恥ずかしいのは本当らしい。  文さんが言葉巧みに魔理沙さんを煽る。  いくら羞恥に恥じらう初心なとろ火といえど、大量の油を注ぎ込まれては──     「あぁー、もう!」      爆発した。     「叶とずっと一緒にいたいからだよ!」     ──星符 ブレイジングスター             「だから、聞きたくなかったんだ……」
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