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自分がどこにいるのか分からなかった。足下も目の前も真っ暗で何も見えない。正しい道は幾つあるのか、それがどこにあるのかも分からない。少しでも足を踏み外して間違った道を行けば、底のない穴に墜ちていく気がした。
だから歩くことを止めて立ち止まった。歩けば歩くほど、もう正解の道に戻ることはできないと思ったからだ。
闇に、光が差し込んだ。
闇を切り裂いて帯のように舞い降りた光の筋が僕を照らしてくれた。
照らされた道を見て僕ははっとした。
道はたった一つしかなかった。
それが正解なのか間違いなのか、選択の余地もなく、ただ一つ。
真っ直ぐに延びる僕が進むべき道。
「だから、聞きたくなかったんだ……」
僕はこんなにも馬鹿だった。
その道は、僕が何にも代え難い希望で作った道だったのに、それを見失っていたなんて。
「みんなと笑って過ごすために」
それは享受じゃない。
それは履行じゃない。
それは妥協じゃない。
なんてことはなかったんだ。
見えていなかっただけだったんだ。
道はこんなにも広く、長く、真っ直ぐに、明るくしっかりと遥か見えない遠くまで続いている。
例え小石はあろうとも、例え荒れていようとも、みんなでこの道を歩くことが僕の望みなのだから。
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