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不意に目を覚まし、がばりと起きあがった。気絶していたことに気付いたのもその後だ。
なにやら小さく声が聞こえた気がしたが、それどころじゃなかった。
僕は落下中に気を失い、どういうワケか助かったらしい。確実に魔理沙さんのおかげだろうけど。受け止めてくれたのが大地じゃなくて本当に良かった。
「……いやー怖かった。まじ怖かった」
死ぬかと思ったね、本当。
どうやら重力とやらは、サボっていたかと思うといきなりやる気を出したりで、僕が思っていた以上に気分屋らしい。勘弁してほしい。
息を吸い込む度に、生きててよかったとしみじみ思う。
ところで、何やら額がじんじんと痛むことに気付いた。落下の途中でどこかに打ったのかな、そう思ったが。
目の前で糸が切れた人形のように倒れている金髪魔法少女を見て仰天した。
「ま、魔理沙さん!?」
一体誰がこんなことを!
「おまえだ、おーまーえー」
「どこに隠れた、魔理沙さんをこんなにしたオマエさんは!」
……それはあまりにも苦しいな、渡良瀬叶。
僕がヘッドバッドをかましたのは言い逃れの出来ない事実のようだ。
むくりと起きあがった魔理沙さんは、赤くなった額をさすりながら僕をじろりと睨んだ。
おそらく心配して僕の顔を覗き込んだ時に、丁度良く起きあがった僕からの恩知らずなヘッドバッドが飛んだのだろう。怒られて当然か。
「ごめん」
「あんまりにも恩を仇だぜ」
「……ごめん」
平謝りするしかなかった。
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