一譚 希望の果て

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   初撃を防がれた魔法少女は、まるで予想外といった驚きの表情を浮かべながらケラケラと笑っていた。 「ははっ、やるなぁ」 「こんなもんか?」 「おいおい、まさかここからどうにかなるとは思ってないだろ?」 「いくらありえない物を持ち出してこようと関係ないな。決闘、対戦、スポーツと何ら変わりはない」 「ふむ、一理あるが」 「なら全ては気の持ち様だ。勝利した自分のイメージを強く持った奴が勝つ。俺が負ける道理が見あたらないな」  ああもうなんで挑発しちゃうかな宗一郎さん。確かに格好いいこと言ってるけどほら、魔法少女の眉間にちょっと皺寄っちゃったじゃないか。  しかし次には初めの表情に戻り、しかし今までとは違い"嗤い"始めた。 「……へェ」  細めた金色の瞳が妖しく光る。ぺろりと舌なめずりするその表情が酷く艶やかだ。  舞い散る星屑とも相まって、その姿はとても幻想的に見えた。  やがてその口を開き、魔法少女は言う。 「じゃあ、ガチンコ勝負といくか」 「望むところだ」  言の葉が交わされるのと同時に、大きく弧を描いていた星屑の隊列に変化が生まれた。  宗一郎を中心とした公転が生み出す直径が縮小していく。見るからにそれは、退路を奪い押し潰そうとしている動きだった。  多方から襲い来る無遠慮の輩達を前に、回避の方法すら思い浮かばず。  いい加減、走り出さずにはいられなかった。激情に身を任せてしまえば恐怖ですら消え失せる。  今度こそ僕は一歩踏み出した。  それと同時に僅かな目眩を覚え、そして不意に地面がせり上がってきた。 「……え?」    否、それは僕が倒れ伏しただけだった。  
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