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目が覚めると、真っ赤に染まった空が目に飛び込んできた。
まだ朧気な視界の端に、何かが映る。座った人影が三つ……あ。
「そ、宗一郎!」
一気に意識が覚醒した。
同時にその名を呼ぶ。星屑の嵐に晒された友人の無事を確かめるために。
「ん、なんだどうかしたか?」
「……なぜっ」
答えがあっさり返ってきたことに拍子抜けしてずっこける。
声の方を見ると、壁に寄りかかってはいたものの宗一郎の健在な姿。制服がボロボロなのは良いとして、表情はいつも通り。むすっとしていて口数が少ないのはいつもの宗一郎。
そしてそれと同じくらいに、例の二人が隣に座っていたのに驚いた。
どういう状況っすかね?
「なんでスペカを食らったコイツよりあんたのほうが目覚めるのが遅いんだか」
言うのは巫女少女。魔法少女はというと、隣で腕を組んで胡座かいて寝てた。寝顔だけ見れば、さっきまで荒れ狂っていた星屑の駆り手とはとても思えないんだけど。
状況把握できない僕に、宗一郎が歩み寄って説明してくれた。
「まぁ、なんだ。情けないことに俺もやられて寝てたんだがおまえも寝てた。もう放課後だ」
「ほ、放課後っ!?」
ちなみに、主に身体的ダメージがあったはずの宗一郎は一時間も前に起きていたそうだ。僕なんかちょっと金縛りにあってただけなのに。
考えれば考えるほど情けなくなってきた。
「あの捕縛術を力ずくで破ろうとしたからよ。やめておきなさいって言ったのに」
「結局何もできなかったけどね」
「あれ、覚えてないの? あんたしっかりアレ破ったじゃない」
……はて? 記憶にございませんが。
さておき、言いながら巫女少女はけらけらと笑っていた。めちゃくちゃ険しい顔してたさっきまでと明らかに雰囲気が違うのです。
笑った顔はどこまでも濁り無く爽やかだった。本当にさっきの人と同一人物ですかと問いたくなるほどに。
そんな巫女少女は、口元に微笑を携えたまま僕の方を向いた。
「さて」
「はい?」
「まだお仕置き、いる?」
「…………そもそも僕、悪いことしてないんデスガ」
これは本当に本当のことである。
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