一譚 希望の果て

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  「博麗霊夢」 「……え?」  僕は勇気を奮い立たせて聞いたはずなのにあっさりと答えが返ってきたことに拍子抜けして、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。  巫女少女……いや、博麗霊夢さんは眉をしかめた。 「あんたが聞いたんでしょ、名前」 「そ、そっか」  さて、聞いてみたいことは山ほどある。しかしさっきも言ったが変に首を突っ込んで巻き込まれるのは得策じゃない。  共通した話題も見つからないし、どうすればいいのか少し悩むところ。  あ、そういえば。 「僕と宗一郎を監視する、ってどういうこと?」 「んー、そのまんまの意味なんだけどね」  顎に手を当てて少し考える仕草をしたあと、 「私たちのことを吹聴されるととてもよくない。できれば穏便に済ませて私たちは帰りたいの」  あの穴の向こうへ、という意味だろう。が、言葉にしたくないので僕は口を挟むことをしなかった。  でも……、と少女は言葉を濁した。  顎に手を当てたまま、難しい顔をして。 「実際、私たちは何をすればいいのか分からないのよね。そもそも、なんでこんなところにいるのかしら」  ふーむ、と二人で呻ってみる。とはいえ、当の本人が知らないことを僕が知る由もない。  とりあえず分かったことは、二人が別の所から来たということだ。それはあの穴の向こうということで違いないのだろうけど、その先が異世界とかに繋がってないことを祈るばかりだ。 「私がいないと幻想郷の結界を維持できないから、一刻も早く帰らないといけないのに」  おーっと聞いちゃいけない単語がちらほら出てきたぞ耳を塞げ僕。  そして少女は最後に、忌々しげに拳を握りしめて言うのだった。 「紫め、何を考えてるんだか……」  
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