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夢を見た。
ひどく曖昧で、儚げで、薄弱で、悲しげで圧倒的な夢だった。
その人は、世界にたったひとりぼっちで。
でも、昔はひとりぼっちじゃなかったから、余計に悲しくて。
泣いて、泣いて、泣いて。
誰も悪くなかった。
特別を望んでなんかいなかった。
でも、確かにそれは幸せだった。
失わないと、そんなことも気付かない。そのことに気付いて、泣いた。
だから望んだんだ。
叶わないと知っているから、返してくれ、と祈ったんだ。
失ったものは、彼一人の命ごときじゃ釣り合わなかった。それも、知っていた。
だから、彼は奇跡を叫び、希望を抱き──。
その果てに、偽物を作り上げた。
そんな、お伽噺。
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