一譚 希望の果て

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  □       夢を見た。      ひどく曖昧で、儚げで、薄弱で、悲しげで圧倒的な夢だった。        その人は、世界にたったひとりぼっちで。  でも、昔はひとりぼっちじゃなかったから、余計に悲しくて。  泣いて、泣いて、泣いて。      誰も悪くなかった。  特別を望んでなんかいなかった。  でも、確かにそれは幸せだった。  失わないと、そんなことも気付かない。そのことに気付いて、泣いた。      だから望んだんだ。  叶わないと知っているから、返してくれ、と祈ったんだ。  失ったものは、彼一人の命ごときじゃ釣り合わなかった。それも、知っていた。      だから、彼は奇跡を叫び、希望を抱き──。               その果てに、偽物を作り上げた。               そんな、お伽噺。                    Go To Next Fantasy....    
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