二譚 遊戯

7/37

451人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
   ふわっ、とした不思議な感覚に襲われる。例えてみるなら、ジェットコースターのような。  そうそう、懐かしいなぁ。修学旅行の時に乗ったジェットコースターはこの後、 「うわあああ!?」  もの凄いスピードで落ちていくんだっけ。  初めての垂直落下。赤い世界に僕は放り出された。  もう遠い霊夢さんと魔理沙さんの背中。  気付く気配もないから助けてもらおうなんて土台無理な話。 「!? ──!」  無我夢中で藻掻くも、どう考えたって僕の体が宙に浮くわけもなく。  ……夢の中でも僕は普通の高校生だったんだ、そうだ。夢だから痛くないだろうな、うん!  ここまで現実逃避に要した時間はコンマ2秒。轟々と真下から叩き付けられる風を感じ、やっぱり夢じゃないと悟るまで同じくコンマ2秒。  混乱する頭で必死に考える。すると赤い視界の端に緑が見えた。 「そ、そうだ! 確か僕の部屋の下には木があったはずへぶぁっ」  垂直落下終了。  結局為す術もなく地面に叩きつけられた哀れ僕。  でもどうやら、木がしっかり衝撃を和らげてくれたらしい。真っ直ぐ地面に叩き付けられたらどうなっていたのだろうか、と擦り傷と木の葉っぱだらけの全身を眺めてぞっとする。  それでも凄い痛いけどね。 「…………ちゃ、着地成功ぉ。いたたたた」  
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

451人が本棚に入れています
本棚に追加