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ぴょんぴょんと跳びはねながら無垢に笑う少女の姿は見ていて和むものがあった。
うーむ、なんでこんなところにこんな子がいるんだろう。
何か、少女の所在を印す分かりやすいものはないだろうかと思って、その姿を見ていた時だった。
「あはは、吃驚した? 吃驚した?」
年相応の無邪気な態度。
しかし、年不相応──いや、人間不相応なものが。
「…………はね?」
少女の背中、感情の高ぶりに同調するようにぱたぱたとしていたのは。
まるで柳の枝を思わせるような二本一対の突起。吊り下げられた色とりどりの水晶。
僕には翼にしか見えませんでした。
玩具だろうか。いや、それにしてはあの動きは自然すぎる。まるで手足と同じようにとても滑らかに動いている。
謎である。
「うーん……?」
「ねぇねぇ」
「……謎だ」
「ねーってば」
「一体どんな原理で……ん?」
またもうんうん呻っていると、またも目の前に少女の瞳があった。
吸い込まれるような紅い瞳は、昨夜の艶やかな紅い月を連想させた。
その瞳を細めてにっこりと笑ったその顔には、やはり少女の無垢さしか映していなかった。瞳だけが妖しく僕を射抜いていたように思えたけど、昨日あんな月を見たのだから仕方ないということにしておく。
「どうしたの?」
「遊ぼう?」
「遊ぼう、って……僕と?」
「うん」
周囲を見回してもこの子の保護者らしき人はいない。
そりゃそうだ。こんな意味も分からない紅い霧が出てるこんな早朝に山を出歩く奇特な人なんていないだろう。
となると、この子は一体どこから来たんだ?
そのことについて考えようと思ったが、少女がとても遊びたそうにうずうずしてるように見えたので、とりあえずそのことは保留にしておいた。
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