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「よし! じゃあ何して遊ぼうか?」
「私、遊び一つしか知らないよ」
「じゃあ、新しい遊びにチャレンジしてみようか」
このくらいの年の子供はどんな遊びをするんだろう。幼少時代の僕自身の姿を思い浮かべてみたが、さっぱり思い出せない。人の記憶とはそんなものだろうか。
ともかく、世間一般的に子供が好きそうな遊びといえば。
周囲を見回した。
「あ、いいもの見つけた」
遠くに転がっていたいいものを取りに行く。
少女も着いてきた。僕がそれを手に取ると、少女は目を丸くさせた。
「なにそれ?」
「コレはね……。サッカーボールっていうんだ」
「さっかーぼーる?」
少女は小首をかしげた。ああ、なんか凄くかわいい。
──ハッ!? なんか自分でも怪しい方向に突っ走ろうとしていた気がする。落ち着け、落ち着け僕。
「ご、ごほん! ええとね、このボールを蹴って、僕の後ろの木に当てればいいんだよ」
僕の背後には、この少女が眠っていた巨大な木。幹の太さはざっと僕の二倍くらい。
要はコレがゴールの代わり。当然、キーパーの僕はそのシュートを阻止する。
うん? さすがにコレは子供には難しいかな。まあ、手加減すれば問題ないだろう。僕大人。
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