二譚 遊戯

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   必死に転げ回りながら、弾の陣形の隙であるただ一点を目指す。  背後から、両脇から、弾は僕を逃がすまいと追いかけてきた。まるで大きな一つの意思に統率されているかのように、全ての弾が僕だけを正確に狙い撃たんとしている。  ただ一言。超恐い。  その一言に突き動かされる僕の四肢は、もはや走るというより転げ回る格好になっていた。  足を取られて体勢を崩し、時折手を付きながら。それは文字通り、必死の逃走劇だった。  ただ、そんな必死が功を成したのか、その弾幕の切れ目に辿り着くことができた。  もつれる足、崩れる姿勢をもはや抗おうともせず、僕はその隙間に転がり込んだ。 「いよっし、セーフ……って甘かったぁ!?」  転がった目の前に、鮮やかな紫色の弾。  その球体に、鏡あわせになった僕の顔が映る。少し横に広がった面白い顔だ。とにかくそれくらい近くに弾があった。  僕の運動神経で避けられるわけがない。なにせ、分かりやすい比較対象である宗一郎に不可能だったのだから。  僕は武道の心得もなければ、運動神経が良いわけでもない。特に知的ってわけでもないし。  加えて、転がった姿勢のままで身動きが取れない。 さっきみたいなまぐれだって、二度も起こるわけがない。  こんな小さな弾の群れに、僕は命の危機すら覚えていた。でもそれはきっと正しい。  いよいよ、やばい。 「うわぁぁ!!」  無我夢中で、僕は体を横に投げ出した。  
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