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「うわぁぁ!!」
無我夢中で投げ出した体。朝露と土で泥だらけになるのも厭わない。
こんな泥だらけで、汗だらけで、僕はなんで死の淵を走り続けているんだろうか。
僕の身の安全を誰かに保証して欲しかった。僕ではどうしようもないのだから。
誰かに助けて欲しかった。そして真っ先に思い浮かんだのは、宗一郎の背中だった。
しかし、それはまやかしだ。届かない願望だ。
さっきまで僕がいた場所に弾が殺到していくのを呆然と眺めながら、僕はそんなことを思っていた。
酸欠でぐらつく視界、霞む思考。
何も考えたくない。
──だからこそ、一つの閃きが頭を過ぎった。
「……!」
形のない閃きは輪郭のないヒント。
一縷の希望が、漠然と胸に去来した。
不完全なそれを完全なものとすべく、残るピースを僕は必死で捜した。
「……っと!」
飛来した弾を、もう何度目かも分からない跳躍で回避する。
再び拭くが泥まみれになってしまったが、閃きだけは手放していない。
僕は跳躍する前に自分がいた場所に目をやった。
「やっぱり、そうなのかも……」
さっき、転んだ僕の頭上を弾が通り過ぎていった。
二度目に、咄嗟に横に転がった時にも同じようなことがあった。
そして、導き出された不確定要素を確定要素へと昇華させる一つのピースを、たった今目の当たりにした。
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