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一つの仮説は僕に勝機という可能性を見出させた。
一つの勝機は僕に気合いという活力をもたらした。
少しだけ体が軽くなった気がするのは気のせいなのかもしれないけど、今はそれでもいいと思った。
心に余裕が生まれたことで広くなった視野の一番奥に佇む、この大惨事の元凶であろう少女をしっかり見据える。
たぎる気持ちを抑え、僕は立ち上がりながら言う。
「君の名前を、聞いてなかったね」
「ん、そういえば。フランドール・スカーレットよ。あなたは?」
「僕の名前は渡良瀬叶。
それでフランドール、最後に一つ聞かせて。避けきる以外に、僕の勝利条件はあるの?」
「もちろん、私を倒してもいいんだけど。えーと、ちゃんとしたルールだと、先に被弾したら負けなんだっけ?
……んー、死んだら負けのほうが分かりやすくていいんだけど」
「……外見の割に物騒なこと言うね。
ごほん、じゃぁ、あんまり痛くないと思うけど先に謝っておくね」
いつしか、苦笑いは笑みに変わっていた。
フランドールもまた、愉快そうに口の端を上げる。でもあれは嘲笑だな。絶対に無理だ。何を言っているんだ。まぁ、せいぜい見てやるか。そう思っているに違いない。
その嘲りを驚愕に。
行ってみよう。
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