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ゆさゆさ。
「……ん?」
ゆさゆさゆさ。
「やめてよ、今格好良く意識失ってるんだから……」
ゆさゆさゆさゆさ。
「だからぁ……」
「起ーきて!」
「げぼらっ!?」
うつ伏せに倒れた僕の背中に覚えた衝撃に、僕の体は綺麗に海老反りした。
無意識的に開かれたまぶた。相変わらず紅い景色に一瞬とまどったものの、それ以外に特筆すべき異変はない。
顔を上げると視界一杯に映った少女の姿には、残念ながら傷一つない。いや訂正。喜ばしい限りだ。
ダメージを与えた証明が形に残らなかっただけで、あの至近距離の不意打ちは避けられるものじゃないはず。
先に直撃させた方が勝つゲームなら、
「僕の勝ちだよね?」
「一枚目はね」
「……今、なんと?」
ごろんとその場で転がって仰向けの姿勢になると、フランドールの顔がまだ笑っていることに気付いた。
どこにも外傷はないようだが、あれほど恐ろしい弾が直撃したのだから少しくらい怖がっても良いだろうに。その手の遊びには慣れてます、とでも言うのか。
いやいや、そんなことよりも。
その手には、先ほど掲げた札ととても似ているものがおそよ8枚くらい。……さっきので9分の1?
フランドールの言葉と相まって、僕は顔が強張るのを抑えられなかった。
「も、もう笑うしかないね」
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