二譚 遊戯

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     一緒に遊んだ、だから友達。  死にそうになったって、泥だらけでへとへとだって関係ない。濁り気のない無垢な心が求めたその行為を遊びと称するなら、僕はそう信じよう。  子供の理屈だと笑ってくれて結構。これは本人の気持ちの問題だ。  だから、フランドールと僕は友達。  だから、僕はフランドールを止めなければならない。 「ぐぬっ……」  渾身の渾身。運動会のマラソンでだってこんなに本気じゃなかったな。  震える膝を掌で無理矢理押さえ込み、崩れそうになる足を爪先で支える。 「ちょっとあなた、何を……!」  銀髪メイドさんが僕を抑えようと手を伸ばした。  しかし、次の瞬間には、僕は駆け出していた。  眼前に広がるのは、僕の友達とその姉が殺し合いを始めようとしている、許し難い風景。  そんな悲しいことは、あっちゃいけない。  
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