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side out
ビルの屋上から二本、足が生えていた。しかも柳の枝のように所在なくぶらぶらと揺れていた。
しばらく、風に揺られるように揺れていたそれは、急にぐわっと振り上げられ。
「理不尽と賽銭くれない参拝者なんかキライだー!」
足の先にあった体がにょっきり現れた。
続いて、白黒装束の少女も現れる。
「なんかすごーく忘れられてる気がするぜ、私たち」
「そりゃもう、物凄い勢いでね」
魔理沙の呟きに、霊夢は片手をひらひらさせながら賛同した。
どちらともなく漏れたやるせない溜息が紅い空に漂っていった。
彼女たちはこの紅い霧を生み出す元凶を叩くべく、決闘を始めたはずだった。
しかしフタを開けてみればどうか。
突然吸血鬼の従者が現れたかと言うと「お嬢様、見つけました!」とか言って二人とも消えてしまったではないか。
吸血鬼とその従者がどこへ消えたかは二人の知る由ではないが、一々探すことさえ馬鹿馬鹿しく思えたのだった。面倒くさいとは二人共通の弁である。
正義感から吸血鬼討伐へと駆り立てられた二人のやる気を削いだ何よりの原因といえば、吸血鬼がいなくなった瞬間に紅い霧も晴れてきたことか。
二人は揃ってため息をつき、家路につくことにした。
もう早朝とは言えない時間帯である。
霊夢は最後に振り返り、釈然としない気持ちをそこに捨てていくことにした。
「悩んだって、どうしようもないことはどうしようもないし」
つまり霊夢とは、そういう性格の持ち主だったのである。
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