一譚 希望の果て

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   どうしようもなくなると苦笑いしかすることがなくなる。  穴の中から僕を見つめる無数の目とはあまり視線を交わしたくないのだけど、そこから何か聞こえてきてしまったので、僕の目線は否応なくそっちへ向けられてしまったのだった。  聞こえていた音は少しずつ大きくなって、というか加速度的にどんどん大きくなってきてるんだけど、 「──うわあああああああああああ!」 「えぇぇっ!?」  絶叫と共に女の子が落ちてきた。  金髪で白黒のエプロンドレス。しかも黒いとんがり帽子を装着しているという女の子が落下してきたのだ。 「へぶっ!」  そのまま顔面から落ちた。  見るからに痛そうな落ち方だけど、案の定起きあがる気配はない。  とりあえず近づいてみることに……しなかった。  もう一つの悲鳴が近づいてきていることに気付いてしまったからだ。 「うぇえええええええ!」 「上ぇぇっ!?」  次にその穴から吐き出されたのは、紅と白の巫女服。なーんだ、コスプレが流行ってるのか。  この穴もきっとそういう何かに違いない。良い方に解釈しようとしたのだが丁度良い言葉が見つからずに、僕は半ば自分に言い聞かせるように納得していた。  強いていうならば、そう。現実逃避。  うん、現実逃避だ。  
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