二譚 遊戯

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   宗一郎とフランドールを除いた全員が、ドアを注視した。  その正体を知っているのは、僕だけである。  そして、ドアが開く。 「ただいまー。叶、おとなしくしてた?」 「ふいー、くたびれ損とはまさにこのことだぜ」  各々言いたいことを言いつつ登場。言うまでもなく内訳は巫女少女と魔法少女である。  そして、その表情が綺麗に固まった。視線を追うと、やはりレミリアさんと咲夜さん。視線を向けられたその二人はというと、キョトン顔。  僕も口を挟むわけにもいかず。  一瞬だけあたりを漂った静寂が静かに、しかし跡形もなく粉砕される。 「……なんであんたらがいるのかしら?」  と、狂気の笑顔を湛えた霊夢さん。  隣の魔理沙さんでさえ、顔を引きつらせるほどの冷笑だった。もちろん僕は冷や汗だらだらである。 「それはこっちの台詞よ」  レミリアさんが油を注いでしまったものだから、霊夢さんのこめかみにうっすら浮かんでいた青筋がいっそう濃くなった。笑顔キープが、なおさら恐い。  怒りの臨界点を察したのか、魔理沙さんはそーっと後退する。もちろん僕は冷や汗だらだらである。 「ここで会ったのも何かの縁かしらね」  咲夜さん、それは爆弾を点火させる一言です。 「だ、い、た、い、ねぇ!!」  ……ほら、爆発しちゃった。  
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