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咲夜さんは、ゆっくりと説明を始めた。
「まず、紅霧は直射日光を避けるため。私やお嬢様と妹様がこっちに来た経緯は追々話すとして、その時に妹様は行方不明だったのよ。お嬢様は気配で妹様がこちらに来ていることを察知したようだけど、夜のうちに探し出すことができなかった。私の能力だって、外の世界でむやみに使えばどうなるか分からなかったから。私たち幻想郷の民が外の世界や生物に影響を及ぼすことはタブーの一つだったはずね。
……話が逸れたわね。つまり、紅霧は妹様を直射日光から守るための苦肉の策というわけ。大丈夫、……とは言えないけれど、毒性はかなり弱いはずよ」
「付け足すと、」とレミリアさん。
「幻想郷では霊夢と魔理沙がいなくなったことが広まっていて、私の耳にも届いていた。そして私たちがここにいる今、お前ら二人もここにいることを予測することなど誰にでもできる簡単な推論だ。つまり、私は咲夜がフランを探すまでの陽動。しかし釣り針が大きすぎたな、まるで阿呆のように一瞬でまとめて釣れた」
僕の理解の及ばない単語のオンパレードである。
直射日光という時点でもう着いていけなかった。
ただ、二人の話を聞く度に霊夢さんの唇が何かを訴えたげにわなわな震えていたことだけは分かったが。
「話を続けるわね」
咲夜さんが言う。霊夢さんはこくりと一度頷いた。
「私たちがここにいる理由ね。正直に言うと分からないのよね」
「そうそう、いつものように紅茶を飲んでいたら突然足下に穴ができた」
「パチュリー様や美鈴は無事でしょうかねぇ」
「いやぁ、あいつらなら大丈夫だろう。そんなにヤワじゃないし」
いやぁ、節々に理解できる単語が出てくるあたり外人の会話よりタチが悪い。
頭の中で噛み砕きすぎて原型も忘れた言葉の数々がぐるぐると脳内を往来して、混乱どころの話じゃない。
一体、どこの世界の話をしているんだろうか。
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