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雄叫びの後にすぐに打ち合わないのは、実力が伯仲している証拠だ。
両者、中段の構えにて不動。切っ先だけが相手の喉元を鋭く狙い続ける。
初手を潰された宗一郎としては、次の一手をより自分に優位に持って行くために相手の隙を付く必要があった。この拮抗は、互いに隙を伺いあっているということだった。
しかし隙は生まれる物でありながら、作られる物でもあった。
簡単に隙を見せる相手ではないと見るや、隙という突破口をこじ開けるために先に動いたのは──否、コンマの差すら許さぬ程に同時だった。
「せあッ!」
「やぁっ!」
気合いの号砲と共に放たれた上段からの剣閃は、互いの剣によって阻まれた。まるで火花でも舞い上がったかのではないかというほどの衝撃をそのままに、鍔迫り合いへと移る。こうなればどちらが有利か。こればかりは火を見るより明らかだった。
身長差を活かして上から体重をかける宗一郎。それを受ける妖夢の足が踏ん張りきれずにずるずると後退していく。このまま体勢を崩せばそれはそのまま単純明快な隙となる。
圧倒的な体格差を活かした、無骨ながら計算し尽くされた作戦だった。
「おぉぉっ!」
「……ぐっ」
体ごとぶつけるように押し続ける。面の向こうで妖夢が顔を歪めた。
──行ける。宗一郎のその判断は、得てして正しい。初手で躓いたこと、体格差、苦悶の表情を浮かべる妖夢。全ての事柄が宗一郎にそう『思わせていた』。
最後の一押し、そう言わんがばかりに宗一郎は踏ん張る足に力を込めた、
その時だった。
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