三譚 宗一郎という男

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  『なぜ、貴方はそんなに強いんですか?』  あんただって、強いだろう。 『私は、そもそも人間じゃありませんから』  手加減してたとか言ったらキレるぞ? 『そりゃ、剣に誓って。だから疑問なんです』  なぜ俺が強いか、ねぇ。 『私は、守りたいものがあるから強くなりたいです』  ……ほう。 『その方は私がいなくても充分強い。でも、だからこそ守って差し上げたい。だから、他の誰にも負けたくない。強くなりたいんです』  いいじゃないか。いいと思うぞ。 『手加減していないそんな私と対等以上に戦う貴方の、強さはなんですか?』  ……そうだな。根本的にはあんたと同じだよ。 『守りたいものがあると?』  あぁ。強くなりたいっていう気持ちは、大体そこへ直結するもんだ。 『確かに』  今もこれからも、万物に対する敗北は俺自身が許さない。おそらくあんたもだろうが、俺はその上を行く。 『……む。私だって負ける気はありませんけど。そこまで、守りたいと?』  違うな。守りたいんじゃない。 『と、言うと?』  守ると、誓ったんだ。 『へぇ。友人ですか? それとも愛人?』  ……そうだなぁ。 ──ただ、俺の、魂に。  
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