三譚 宗一郎という男

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  □  弾幕が交差する。妖蝶と星屑が、ぶつかり合ってはその身を散らしていく。青い空に、幾筋もの光の尾が描かれる。  それはまるで白昼の流星群。  込められた思いが、矢となり弾となり飛翔していく。  魔理沙は箒を駆って空を自由に滑走していた。密度の高い幽々子特有の弾幕の僅かな切れ目をかいくぐり、他の追随を許さぬ疾風と成って空を駆け回る。そんな自分に陶酔しながら、こんな決闘に心躍らせながら。  初手のスペルカードを防がれたことを意に介さず、次はどうしようか、次はどうくるか、次はどうなるか、そればかりを考えていた──その時だった。 「うぉわっ──っと!」  突如、予測不能な軌道で眼前に現れた妖蝶を、魔理沙は体を捻って回避した。妖蝶は棚引く金髪を掠め、後方へと飛び去っていく。  間一髪、危うい回避だったが、その顔は笑みで染められていた。      捻った体を、反動を利用しながら逆方向に捻る。体を箒に預けることで、その体は遠心力に支配される。つまり、回転。箒を軸に、魔理沙の体が的を穿つべく回転する。  加速、回転、箒の切っ先に集約された力をそのままに、突撃する── ──魔符 スターダストレヴァリエ 「バージョン2!」 「!?」  普段なら星形の弾幕を展開させるその弾幕も、使用用途と応用によってはまったく別のスペルカードに化ける。  ただひたすらに無骨なその突撃は、しかし外見通りの威力を持っていた。  魔理沙は流星の尾を引きながら、幽々子目掛けてその身を弾丸とした。  
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