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『ミライエーゴーザン!』
『ぐわー』
……だ、そうである。
まったく理解の範疇を越えている、というよりそんなの理解したくない。
なにが「ぐわー」だよっ。まったく。
「ま、まぁ無事でよかったね」
僕は引きつる頬を押さえ込む気力すら起きず、満面の苦笑いを浮かべながらそう言った。
「すっごく痛かったぞ」
「でも宗一郎なら空飛んだくらい平気でしょ」
「ははっ、まあな」
本当に照れるあたりがさすがとしか言えない。いつものように放置することにした。
霊夢さんと魔理沙さんはよくわからない口論に興じている。
やっとのことで僕はその渦中の二人を正視することができた。
真っ先に目があったのは、水色の浴衣を着た女性。
穏和な笑みを浮かべており、おっとりしたお姉さんのような雰囲気に思わず和んだ。
うん、この人は常識人。きっとそうに違いない。
僕は久方ぶりにやっと見つけた「普通の人」に話しかけようとした。が、その本人に遮られた。
耳を疑ったね、僕は。
「ねぇ、あなた。この世界に幽霊はいないのかしら?」
「……」
あぁもう、誰か僕を普通の世界に連れ戻してくれ。
こんな変人ばっかりの世界なんてまっぴらだから。
僕の周りで変人なのは宗一郎だけだったはずが、最近出会うどんな人でさえも、みんな変人なのである。
……って、宗一郎は変人というより剣道馬鹿か。
どちらにせよ、溜息は尽きない今日が、ようやく終わろうとしていた。
僕は何もしてないけどね!
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