451人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
□
まんまるな月が、すごく綺麗だった。
いつもより大きく見えるそれは、いつもより色鮮やかな黄金に輝いていて。
星が見えないのはきっと、月の眩しさに隠れているからだった。
それを見ているだけでついウキウキしちゃって。
なぜかてんやわんやな霊夢さんと魔理沙さんの隣を「まーたやってるよ」と素通りして。
僕は誘われるように、月夜の世界に飛び出した。
「ちょっとコンビニ行ってくるー」
言いながら、家の戸を開け放った。
同時に、そこから飛び退くっ。
「甘いよ宗一郎っ!
……って、あれ?」
……あれ?
反応ナシ。音ナシ。姿ナシ。
思わず上下、左右を見渡しても、影も形もナシ。まさかの後ろからも気配ナシ。
「……そーいちろー?」
いつもなら、なぜか僕の外出する気配を察して家の前で待ち伏せしている男の姿を、探せど待てど暮らせど見つけることはできなかった。
エンカウント率9割突破の親友がいない。
何やら、肩すかしってやつだ。
「……へ、平和に越したことないか」
というわけで、僕は一人で夜のお散歩に出掛けることにした。
最初のコメントを投稿しよう!