高貴なる者、その名は誇りにして傲慢

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 その報せを聞いた時、私は愕然とした。  弱く汚れた存在である、人間。何故彼女はあんなものを愛し、私を選ばなかったのだろうか?  理解などは出来ようもない。  彼女……アッシュを嫌ってはいなかった。しかし愛していたのかと問われれば、否だ。  ただ――誰もが崇め讃える私を、忠義や愛と形は違えど誰もが選ぶ私を、アッシュだけは選ばなかった事。  それだけが不愉快で疑問だった。  だから、あの瞬間まで私は『傲慢の魔王』と呼ばれるに相応しい存在だったのだろう。
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