春崎詞音

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私は、街へ行った帰りに川沿いの道を歩いて帰るのが日課だ。 今日もいつものように点々といる、私と同じく帰路につく学生やら買い物帰りの主婦やらと歩く。 止まってしまえたら、私は川の流れに錯覚を覚えるだろう。 川の水ではなく、私のいる道の方が動いているという錯覚は、いつでもその感覚になる度に私を酔わせた。 別段、自分が特別というわけでもないくせに、どことなく不思議なその現象は、自らが社会から逸脱した存在であるかのように感じさせる。 だが、私はそんな非日常はいらない。日々平々凡々なのが一番なのだと身を持って知っている。 私はちょっとしたその妄想から這い出て、勝手に歩を進めていた足に集中し、歩き続ける。
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