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ふらふらと廊下を歩いていた時、人にぶつかった。
「おい、大丈夫か?」
ふわっと香水の香がした。
甘すぎない香。
「すみません。」
一瞬興味を持ったが、急いで通り過ぎる。
保健室はまだ遠い。
「待てよ。」
呼び止められたが、耳に入らなかった。
頭がぼんやりする。
ぐいっと腕を掴まれたと思うと、次の瞬間は身体が宙に浮いていた。
え…お姫様抱っこされてる?
「あの…。」
「保健室まで我慢しろ。」
ええー?
恥ずかしいんですけど…。
でも、香水のいい香。
首にそろそろと腕を回し、その冷たい感触に心地よさを感じた。
誰だろう?
顔を見たかったけど、瞼が自然に落ちてくる。
やばい…。
かっこいい……。
そこで私は意識を失ってしまった。
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