恋の試練

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携帯ではなく、テレパシーが使えたらな…… なーんて現実逃避は止めておこう。 そんなのはどら焼き好きのロボットが出るまで待てばいい。 それに、俺はテレパシーなんかではなく、海自体に会いたい…… 居た…… 海だ……! まだ俺に気付いてないのか、歩いている。 うつ向いて歩いてたら気付かないよな、俺も下を向いて考え事してたから、気付くのが遅れた。 サラサラで綺麗な茶色の髪。その髪を黒いゴムで後ろにまとめている。 首には紺色のマフラー。 もう我慢出来ない、そう思った俺は大きな声で呼んだ。 「海っ!」 海が俺の声に反応して、顔を上げる。 その顔は驚いているように見えた。 「コウ……なんで?まだ六時半なのに……」 「早起きしたんだよ、海に早く会いたかったから」 歩み寄る俺と海。 そして、人が居ない事をいい事に、俺は海を抱き締めた。
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