第4話

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課題のページ(日直日誌)が終盤に差しかかったころ、 ガラガラッ ようやく一人目のクラスメートが到着したようだ。 一瞬目を向ける。 あ? 入ってきたのは生徒ではなく、 息を切らしたうちの担任だった。 もうホームルームの時間か、 みんなまだ来てないのに。 「おいコラ山口、みんな待ってるぞ!!」 「はい?」 待ってる? 何を? つーかむしろ待ってるのは俺じゃないか。 1人で授業とかありえないありえない。 その前にさっさとホームルームをすまして俺は課題(日直日誌)を終わらせたいんだよ。 「お前、昨日の話をきいてたか?」 昨日? 「課題(日直日誌)の話ならしっかりと聞いてましたよ。13ページ目に俺が書けばいいんですよね?」 すると担任はやれやれといった表情で 「今日は遠足だぞ」 はい、まずは言葉の意味の確認からいきましょう。 遠足とは 学校の課外授業の一つで見学、運動などを目的として日帰りで遠くへでかけること 協力、広辞○ だよな? いや、念のため今からもう一つの辞書で…… 「昨日言ったし、入学のしおり、隅々まで読んどけって前にいったろ?」 ...... ってことは 学校前のバスや皆の笑顔の正体は 「遠足!?」 高校生にもなって遠足ってどうかと思うが、 というか中学生ですら遠足なんてなかったぞ。 「だからカバン持って早くこい」 筆記用具、課題を全てカバンにしまい全力ダッシュで校門へ向かった。 ―*― こういうわけだったな バスに乗り込むときのみんなの目はなかなかつらかった。 若干哀れむような顔で見てくるし。 こうして日帰りの遠足が始まった。
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