君へ

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眠る時 いつも手を繋いだよね。 だからたまに 腕枕をされると 何を考えてるんだろうって不安になったりしたんだよ。 そんなの普通の ラブなカップルには わからない感覚だろうね。 だからすぐに 体を離して 君の左手を握って眠ったよ。 大きな河の 河川敷を 酔っ払いながら 二人で走ったよね。 車から 帽子を投げちゃってさ! もちろんわざとよ? もう外は明るくて 犬の散歩してる人とかいるのに どう見たって 水商売の酔っ払いな 二人だったよね。 君はスーツだしさ。 あれは完璧に浮いてたよ。 あたし、酔っ払い過ぎちゃって 走りまくって 君に捕まえられて 振り向いたらさ 君が笑顔だったから だから 愛おしくて むせ返る位 愛おしい笑顔で 楽しかった。 あの時の帽子は 見つけられなくて 君がいなくなって 探しに行ったら 見つけちゃったんだ。 グチャグチャな帽子。 そのまま被って 帰ったんだけど。 ゴミ箱に捨てたよ。 思いでは 形に残って目に写る度に また色を増すからね。 だから捨てたよ。
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