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「やれやれ。涼より先に詩織ちゃんが仲良くなってしまったね」
「はいはい」
俺は適当に聞き流した。
詩織は結綺乃との熱い握手を終え満足気味だった。
「それよりお風呂に入りたいんだけど…」
結綺乃が唐突に言い出した。
「あ、だったら千鶴さん! 私結綺乃さんと一緒に入りたいです! いいですよね、結綺乃さんっ」
「あ…ええ…構わないわ」
またしても結綺乃は詩織の勢いに乗せられてしまったようだ。
それにしてもあんな詩織は初めてみる気がする。
「よっぽど好きなようだね」
「ったく、アイドルを誘拐するなんて何考えてんだ。警察沙汰はごめんだぞ」
「ふふっ。そのあたりは軽く裏に手を回せば大丈夫だよ」
これを本気で行ってるから世の中よくできてるよな。
「涼」
「なんだよ」
「結婚までしてくれとは言わない。けれどしばらくの間、許婚ということでがんばってもらえるかい?」
こういった真剣な口調の千鶴さんの言うことはマジだ。
俺としてもかなりごめん被りたいとこだが、結局流れのままに、ああ、とだけ返事をした。
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