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驚いたのはそこでの結綺乃は見事なまでに猫かぶっていたのだ。
まぁ言動からして今の結綺乃が素だとは思うが、この変わりようは凄かった。
口調は誰に対しても丁寧口調。
声のトーンは俺たちと話していたよりも少し高い。
ここまで人間を変えられると尊敬に値するものだ。
というか、詩織はもしかしてセンナしか知らないはずだがそれでなお結綺乃を好きになったということだろうか。
我が妹ながらたくましいな。
と、唐突に風呂場のドアが開いた。
「お兄ちゃん、上がりましたー」
満面の笑みでパジャマ姿の詩織は同じくパジャマ姿の結綺乃を隣に引き連れ風呂から上がってきた。
「聞いてくださいよ。ものすごくスタイルがいいんですよ結綺乃さん。さすがアイドルって感じでした」
「へぇ」
短く答えると俺は一瞬結綺乃を視界に入れる。
確かにぱっとみるとスタイルはよさそうだ。
結綺乃は俺の視線に気がついたのか胸の辺りを手で隠す。
「なにジロジロ見てるのよ、変態」
「悪かったな。大事な売り物をジロジロ見て」
どうもこいつとは仲良くなれそうもないな。
さっきからことあるごとに火花が散ってしまう。
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