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「凉、誕生日プレゼントだよ」
16歳を迎えようとした2週間前のことだった。
それは唐突にやってきた。
早めの誕生日プレゼントと言って千鶴さんが俺に持ってきたのは、おそらく俺と同年代であろう。
ピッチピチの女の子だった。
「どっから誘拐してきたんだ」
「隣町のマンションからだよ」
千鶴さんはまるで、自分の所有物を持ってきて当たり前、のような感覚であっさりと犯行を認めた。
浅葉千鶴さん。
両親が死んで身よりのない俺を引き取ってくれた、文字通り恩人だ。
なんでも、お袋の親友らしくそれだけの関係で俺を引き取ってくれたのだから、千鶴さんには感謝してもしきれない。
さらに千鶴さんは議員さんらしく、収入はかなり安定していて、俺たちの生活費はほぼ千鶴さんが一人で稼いでいる。ホント、感謝しきれないな。
なので、血のつながりはないが、千鶴さんには親孝行したいと思っていた。
千鶴さんのすることには出来るだけ賛同していた。
していたのだが。
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