蒼陽町を案内しよう

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「うるさいわね! 私はこんなことじゃ諦めないわよ…!」 あくまで逃走するつもりらしい。 それがいかに無駄なことか理解するのには、まだしばらく時間が掛かりそうだ。 「そりよりもとっととロープ解いてくれない?」 「俺に言うなよ。黒服さん、解いてやってよ」 「我々ではできません。涼様の携帯の♯ボタンを3連続で素早く押していただくと罠が解除されます」 この際、俺のケータイになぜそんな機能が付いているかとかありきたりな疑問は置いといて、言われるがままに♯を3回押した。 機械的な音を立て、ロープの先端に付いていた機械の部分が外れる。 「酷い目にあったわ…」 「それは災難なことで。とりあえずとっとと家に戻ってこいよ。アンタの分の飯も用意してあるからな」 要件だけ伝え俺はさっさと階段を上った。 しばらくすると後ろからパタパタと階段を上ってくる音がした。
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