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「いやぁ、さすがに高級マンションなだけあって、防犯対策がバッチリだったね」
まさか義理にも俺の母ともあろう御方は、犯罪に手を出すとは思わなかった。
「なるほどな」
気絶した(させられた)彼女を和室に寝かせ、食卓を俺、千鶴さん、亜沙姉、詩織の四人が囲む中、千鶴さんに事の経緯を話してもらった。
話を聞く限り、千鶴さんも私的理由のみで誘拐したわけではないようで、とりあえず一安心だ。
何でも話によると彼女の父親が亡くなり彼女は一人暮らしをしているらしい。
そこで彼女の父方の祖母が彼女を引き取ってほしいと願い出たらしい。
驚きなのは、なんと千鶴さんが彼女と血の繋がった親子だということだ。
詳しくは説明してもらえなかったが、度重なる災難が続き、彼女を産んですぐに引き離されたらしい。
けれど彼女の父親が亡くなり、家族の温もりを失った彼女を引き取ってほしいと頼まれたらしい。
身勝手な話にも聞こえたが、千鶴さんは快く引き受けたそうだ。
それほどまでに彼女のことを想っていたのだろう。
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