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後ろに飛ばされた犯人はすぐさま川端に押さえつけられ、床に突っ伏した状態となっていた。
一瞬の出来事で何が何だか分からない晶は、歩いていた足を止めて呆然としていた。
すると、緊張から解放された生方が犯人の上に乗る川端に近付いて行き
「助けるなら早く助けてくれ」
「ごめーん。だって、なかなか隙見せないんだもん」
「ま、おかげで助かったけどさ……ありがとな」
「どう致しまして。じゃあコーヒー新しいの淹れてくれる?」
「おごってやるよ」
その言葉に「わあい」と子どものように無邪気な表情で喜ぶ川端。
この状況が嘘みたいだ。
この後、すぐ来た警察に犯人は逮捕されて店はいつも通りの静さを取り戻した。
―――――――――――――
約束通り新しいコーヒーをおごって貰った川端は、珍しくカウンター席でそれを堪能した。
「やっぱ、一仕事終えた後のコーヒーは美味しいね」
「格別だな。それにしても、お前鈍ってないな」
「ああ。うん。だってこの前まで通ってたし」
コーヒーを飲みながら会話する2人に晶も混ざったが、何を言っているのか分からなかった。
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